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『桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―』を山種美術館にて

投稿日:2018/04/05

  東京、渋谷の山種美術館にて開催中、『桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―』を観に行きました。本展の見どころ紹介とレポートをお送りします。

山種美術館が所蔵する桜が描かれた名画を展示

f:id:async-harmony:20180411160248j:plain36 菱田 春草《桜下美人図》1894(明治 27)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

 爛漫と咲き誇り、やがて散りゆく桜の美しさは、古くから詩歌に詠まれ、調度や衣装などの文様に表されるとともに、絵画にも盛んに描かれてきました。桜を愛でる人々を描いた物語絵や風俗画から、奈良の吉野など、桜の名所を舞台とした名所絵や風景画、そして花が主役となる花鳥画や花卉画(かきが)まで、さまざまなジャンルで絵画化され、時代とともに多彩な表現が展開しています。

 そんな日本の春を象徴するとともに、絵画にも盛んに描かれてきた桜。今回6年ぶりに、山種美術館が所蔵する多くの作品のなかから、桜が描かれた作品を厳選し、一堂に公開する展覧会が開催されます。名だたる日本画家たちによる桜の絵画で満開となった会場でお花見を楽しみながら、季節を満喫してください。

約60点の桜の絵をを3つの章で展示
会場は桜が満開

  桜は古くから日本人に親しまれ、近代・現代の日本画においても重要な題材であり続けました。本展では、 約1800点にのぼる山種美術館コレクションのなかから、桜を描いた作品約60点を厳選し、それらを3つの章にわけて展示しています。

 第1章『名所の桜』では、京都の桜を描いた奥村土牛《醍醐》や東山魁夷《春静》をはじめ、日本全国の名所の桜を描いた作品が展示されています。これらの作品は、ただ桜のある風景というだけでなく、桜に対する画家それぞれの思いまでもが映し出されています。

f:id:async-harmony:20180407204422j:plain6 奥村 土牛《醍醐》1972(昭和 47)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

12 東山 魁夷《春静》1968(昭和 43)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

f:id:async-harmony:20180407204430j:plain17 小林 古径《清姫》のうち「入相桜」1930(昭和 5)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

 第2章『花を愛でる』では、狩野常信《明皇花陣図》などの桜を愛でる人々を描いた作品が並びます。江戸時代の風俗画に範をとった上村松園《桜可里》や松岡映丘《春光春衣》などは、歴史や物語の一場面で桜を印象的に表しています。

f:id:async-harmony:20180411204839j:plain28 狩野 常信《明皇花陣図》(部分)17-18 世紀(江戸時代) 絹本・彩色 山種美術館蔵

 

f:id:async-harmony:20180407204406j:plain37 上村 松園《桜可里》1926-29(昭和元-4)年頃 絹本・彩色 山種美術館蔵
 
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40 松岡 映丘《春光春衣》1917(大正 6)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

 第3章は『桜を描く』と題し、はらはらと散る桜を抒情たっぷりに描いた小茂田青樹《春庭》や、夜桜をクローズアップして幻想的に描き出した速水御舟《夜桜》をはじめ、桜そのものを主題とした作品が展示されます。ここでは、画家の個性や美意識が反映された、日本画の表現の幅広さをみてとることができます。

f:id:async-harmony:20180407204442j:plain45 小茂田 青樹《春庭》1918(大正 7)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

f:id:async-harmony:20180407204337j:plain47 渡辺 省亭《桜に雀》20世紀(明治-大正時代) 絹本・彩色 山種美術館蔵

f:id:async-harmony:20180407204349j:plain48 菊池 芳文《花鳥十二ヶ月》のうち「3月」1868-1918 年頃 (明治-大正時代) 絹本・彩色 山種美術館蔵

第二展示室では夜桜をテーマ展示

   展示室入口を左に曲がったところにある小さな第二展示室では、古くから日本人に愛されてきた風情あふれる夜桜をテーマ展示しています。淡い月明かりに照らされてひっそりと咲く夜桜をじっくりと堪能してください。

f:id:async-harmony:20180407204455j:plain55 速水 御舟 1894-1935 夜桜 1928(昭和 3)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

f:id:async-harmony:20180407204516j:plain60 千住 博 1958- 夜桜 2001(平成 13)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

レポート

 山種美術館は、1966年に、東京・日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館しました。1998年には、設備の老朽化に伴い千代田区三番町に仮移転し、その後2009年に現在の渋谷区広尾に移転して新美術館をオープンしました。2016年に開館50周年を迎えた同館の所蔵作品は約1800点を超え、現在では日本画だけにとどまらず、古画、浮世絵、油彩画なども所蔵しています。それらコレクションは、年5~6回開催の展覧会で公開されます。

 そんな山種美術館にて現在開催中なのが、「桜」をテーマにした展覧会です。山種美術館では数多くの日本画の名画を所蔵していますが、そのコレクションのなかから桜が描かれた作品のみを展示するという春らしい企画ですね。前回は6年前、それ以前にも度々開催されているようです。

   優しい照明によって照らされた展示室内に入ると、まさに満開の桜を見ているような華やかな雰囲気を感じられます。一口に桜と言っても様々な品種があり、色も白っぽいものや濃いピンクのものなどがありますが、本展でもそういった様々なバリエーションが楽しめます。また、同じ題材を描いた作品が並んでいることで、それぞれの画家の個性がより引き立っていました。

 本展は前述の通り3つの章からなっていますが、個人的に好きだったのは第2章『花を愛でる』です。ここでは、人々が主役として描かれており、桜は脇役としてさりげなく登場している場合がほとんどです。しかし、だからこそ桜が人々にとって特別なものであることが感じられて、なんだか素敵だなと思いました。そういう意味ではこうして本展を鑑賞している我々も『桜』を愛でているわけで、さらには描いた人もそして描かれて人も、根本にある想いは一緒なんですね。本展を通してこれまで以上に桜が好きになりました。

f:id:async-harmony:20180411160526j:plain39 菊池 契月《桜狩》1934(昭和 9)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

 出品点数は約60点とほどよいボリュームで、1時間ほどあればすべて観て回れると思います。平日の午後に行きましたが、そこまで混雑はしておらず快適に鑑賞することができました。

 鑑賞中、外国人のお客さんが次々といらしていたのが印象的でした。日本を象徴する“SAKURA”がテーマだからでしょうか。外国の人たちはこれらの桜を観てどんな気持ちになるのでしょう。

 ちなみに、ショップでは『桜名品画集』という小ぶりな図録が販売されていました。価格は1080円です。

指定の作品1点のみ撮影可能

 本展では、『土田麦僊《大原女》(山種美術館、No.4)』の1点に限り写真撮影が可能となっています。本作は、1915年の第九回文部省美術展覧会(文展)に出品された土田麦僊による作品です。かなり大きな作品なので混雑時に全体を写真に収めるのは難しそうですね。僕が行った日はそれほど混雑していなかったのでタイミングを見計らって撮影することができました。

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f:id:async-harmony:20180406135509j:plain4 土田 麦僊《大原女》1915(大正 4)年 紗本金地・彩色 山種美術館蔵

 写真撮影に関しては注意事項がありますので、会場にて確認していただきルールを守って撮影しましょう。

最後に

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 東京はすっかり桜の季節が終わってしまいましたが、本展では満開の桜を楽しむことができます。桜は日本人にとって最も大切な春のシンボルですよね。そのものの美しさを楽しむことはもちろんですが、別れと出会いを連想させ、色々な想いを掻き立てる桜は、不思議な魅力に満ち溢れていると思います。本展においても、その美しさに感動しつつ、なにか懐かしさや淋しさを感じてしまいました。そしてそれは、きっと描いた画家も同じだったのではないでしょうか。ぜひ本展でお花見を満喫しつつ、この感覚を感じていただけたらと思います。

以上、『桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―』の見どころ解説、レポートでした。

開催概要

会場: 山種美術館
会期:2018年3月10日(土)~5月6日(日)
開館時間: 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日[但し、4/30(月)、5/1(火)は開館]

入館料

一般1000円(800円)・大高生800円(700円)・中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。
※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。
[お得な割引サービス]
きもの割引:会期中、きもので来館された方は、団体割引料金となります。
リピーター割引:本展使用済み入場券(有料)のご提出で会期中の入館料が団体割引料金となります(1枚につき1名様1回限り有効)。
※リピーター割引は、同一の展覧会を2回目以降にご覧いただく場合に有効。
 他の展覧会の入場券はご使用いただけません。※ 複数の割引の併用はできません。

アクセス

【徒歩でのアクセス】
JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分

【バスでのアクセス】
恵比寿駅前より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分(降車停留所③、乗車停留所④)
渋谷駅東口ターミナルより日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2分(降車停留所①、乗車停留所②)

 今回はJR恵比寿駅から徒歩で行きましたので、その道のりを写真を使って紹介します。

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 JR恵比寿駅西口改札がスタートです。写真は改札の内側から外側を撮影したものです。改札を出たら右に進みます。

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右に進むとすぐに突き当りになりますので、左に曲がります。

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またすぐに突き当りになりますので、今度は右に曲がります。ここからは大きな道路(駒沢通り)を左手側にして沿うようにひたすらまっすぐ進みます。

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途中横断歩道を渡りつつしばらく進むと渋谷橋歩道橋が見えてきます。このまま直進したいのですが、横断歩道がありませんのでこの歩道橋を使って渡ります。階段を上ったら右に進みその先の階段を下ります。

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階段を下りるとルートが少し右側に逸れていますので、写真奥の道に進んで元のルートに復帰します。

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少し進むと右側に「EBIS PRIME SQUARE」という大きなビルがあります。その辺りまで来ると正面に山種美術館が見えてきます。写真右の中央一番奥に見える白っぽい建物が美術館です。

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到着目前というところにバス停がありますが、こちらは恵比寿駅に帰る際の停留所になります。駅から美術館へのバスを利用された方は、道路を挟んで反対側に降車停留所があります。

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バス停を通り過ぎたところで信号がありますのでこの横断歩道を渡り直進します。

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少し進んだら到着です。

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