その他首都圏 日本美術

浦上コレクション 北斎漫画:驚異の眼、驚異の筆をうらわ美術館にて

 さいたま市浦和区のうらわ美術館にて2018年4月21日(土)~ 6月17日(日)の日程で開催中、『浦上コレクション 北斎漫画:驚異の眼、驚異の筆』の紹介です。

浦上満氏の『北斎漫画』コレクションより、選りすぐりの約200点を展示

 

f:id:async-harmony:20180523190334j:plain
葛飾北斎《鯨・鮫ほか》

 世界でその名を知られる江戸の浮世絵師、葛飾北斎(1760‐1849)が残した数々の名作の中でも、《冨嶽三十六景》と並ぶ代表作として知られるのが『北斎漫画』です。弟子たちの絵手本として1814(文化11)年に初編が刊行されると、庶民の絶大な人気を博して版を重ね、北斎没後の1878(明治11)年まで全15編が刊行されました。

 この中で北斎は、人々の生活や動植物、自然現象や各地の名勝、さらには神仏、幽霊まで、森羅万象のあらゆるものを生き生きと描き出しています。洒脱な筆使いとダイナミックな構図、人々の特徴や一瞬の動きをとらえたユーモラスな描写は、自ら「画狂老人」と称して90歳まで絵を描き続けた北斎の、驚くべき画力、眼力を雄弁に物語っているといえます。 本展では、現在約1500冊を所蔵し、世界一の質と量を誇る浦上満氏の『北斎漫画』コレクションより、摺りが早く保存状態の良い選りすぐりの約200点を紹介。あわせて、さいたま市立漫画会館所蔵本も一部展示されます。世界の画家たちを惹きつけ、今なお私たちを魅了してやまない、北斎芸術のエッセンスが凝縮した『北斎漫画』の世界をじっくりと堪能することができます。

f:id:async-harmony:20180523190341j:plain
葛飾北斎《海魔・狩人と大鳥》

f:id:async-harmony:20180523190346j:plain
葛飾北斎《風のいたずら》

f:id:async-harmony:20180523190352j:plain
葛飾北斎《雀踊り》

f:id:async-harmony:20180523190357j:plain
葛飾北斎《百面相・八艘飛》

 19世紀後半、マネやモネ、ドガなど、西洋の芸術家たちにも大きな影響を与え、ジャポニズムの代名詞ともいえる北斎ですが、近年では美術館での企画展が開催されたり、北斎関連本が出版されるなど、空前の北斎ブームが巻き起こっています。

極上のコレクションを通じて北斎の新たな魅力を発見する

 埼玉県さいたま市浦和区にあるうらわ美術館にて開催中の本展では、葛飾北斎の代表作『北斎漫画』のコレクション約200点を観ることができます。江戸当時のさまざまな職業や風俗、道具、建築、動植物、自然現象、各地の名所、歴史上の人物、神仏、幽霊など、あらゆるものが描かれた本作は、全部で15編が刊行されました。本展では初編から15編までの作品を順に展示しており、ダイジェスト的にその全容を概観することができるので、北斎ファンはもちろん、初心者の方にも非常におすすめの展覧会です。

 もともとは弟子たちの絵手本として制作された本作ですが、有名な《雀踊り》でその振り付けを細かく描写したり、銃の使い方を描いたりしたことで次第に庶民たちのあいだで流行しました。テレビもネットもない江戸時代の人々にとって、『北斎漫画』はそれらの役割を果たしていたのでしょう。 北斎といえば「富士」のイメージが強いですが、それは彼のごく一部に過ぎないことを思い知らされます。モチーフ、描き方、構図、その引き出しの多さ、ときにはコミカルに、またときにはシリアスに描く表現力の豊かさには感嘆せずにはいられません。『北斎漫画』は葛飾北斎の魅力を知るうえでこれ以上ない作品だと思います。

 約50年にわたり『北斎漫画』を収集し、現在約1500冊を所蔵している浦上満氏のコレクションは、専門家のあいだで質・量ともに世界一と評されています。実際に本展を鑑賞して、その状態の良さに驚かされました。出品点数も約200点とかなり充実しています。葛飾北斎の新たな魅力に気づかされる展覧会でした。

開催概要

会期:2018年4月21日(土)~ 6月17日(日)
休館日:月曜日、4月30日は開館、5月1日(火)
開館時間:午前10時~午後5時、土日のみ~午後8時(入場は閉館30分前まで)
会場:うらわ美術館
※うらわ美術館は、「浦和ロイヤルパインズホテル」と同じ建物(浦和センチュリーシティビル)の3階にあります。

観覧料:一般610円(480円)、大高生410円(320円)、中小生200円(160円)
※( )内は20 名以上の団体料金 ※障害者手帳をお持ちの方及びその付添いの方1名は半額 ※観覧済の有料観覧券のご提示により、団体料金でご覧いただけます。(観覧日から1年以内、1名様、1回限り)

アクセス

JR「浦和駅」西口より徒歩7分 ・JR京浜東北線、高崎線、宇都宮線、上野東京ライン、湘南新宿ラインが停車します。 ・大宮駅から8分、上野駅から20分、新宿駅から25分 


浦和駅西口に出ると正面に案内板がありますので、右に進みます。

f:id:async-harmony:20180523204727j:plain
 
f:id:async-harmony:20180523204809j:plain
伊勢丹に向かってまっすぐ進みます。突き当たったら建物に沿うように斜め右方向に進み、そのまま直進します。

f:id:async-harmony:20180523205901j:image
写真の場所を左に曲がり、直進します。中央奥に見える大きな建物が美術館がある「浦和ロイヤルパインズホテル」です。

f:id:async-harmony:20180523204833j:image
直進すると大きな通りに突き当たります。すぐ目の前に横断歩道があるのでそちらを渡ってもよいのですが、信号がなく危険なので、向かって右側の信号のある横断歩道を渡ることをおすすめします。

f:id:async-harmony:20180523204841j:image
信号を渡ったらすぐ左に曲がり、正面入口から建物内に入ります。

f:id:async-harmony:20180523204857j:image

f:id:async-harmony:20180523204914j:image
中央の吹き抜け部分の手前、左手側に美術館連絡エレベーターがありますので、そちらで3階に上がれば会場に到着です。3階には無料のコインロッカーもあります。  

© 2024 Art-Exhibition.Tokyo