東京都美術館に2018年1月23日(火)~4月1日(日)開催、『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』を観に行ってきました。16、17世紀のヨーロッパにおいて最も影響力を持った天才画家一族の繁栄の歴史を、貴重なプライベート・コレクションの数々で紹介するこの展覧会のレポートをお送りします。
見どころや、「ブリューゲル一族」についての解説は別ページに書きましたので、よろしければそちらをご覧ください。
見どころ解説編はこちら
(解説編 『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』 東京都美術館 見どころを紹介 - Art-Exhibition-Tokyo)
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雪の影響か初日は混雑なし しかしそれもこの日限り?
1/23(火)、開催初日に行ってきました。4年ぶりの大雪の翌日ということでこの日が穴場なのではないかと思い、いつもの倍の時間をかけて(僕も電車もノロノロ運転)11時頃に到着。予想した通り非常に空いていて、超快適に鑑賞できました。
しかし、この先もそれが続くことは考えられません。何故なら、本展はパリで20万人を動員した超人気国際巡回展であり、日本においてもその注目度は開催前からとても高いです。テレビや雑誌などでも度々紹介されていますし、口コミなどによりこの先どんどん混雑していくことが予想されますので、出来る限り早めに行かれることをおすすめします。
音声ガイドナレーターは声優・石田彰さん
音声ガイドのナビゲーターは、数々のアニメ、映画吹き替え等でご活躍中の声優・石田彰さんが担当されています。画家や絵画の中の登場人物に扮し、ポップで楽しいナビゲートをしてくれます。細かい描写が特徴のブリューゲル作品は、ぼーっと眺めているだけではその魅力を見逃してしまうかもしれません。あらかじめ予習をしていった僕にとっても為になる情報満載で、展覧会をより深く楽しむのに大いに役立ちましたよ。
展覧会入口にて1台につき520円で借りられます。
図録は表紙が2種類
展覧会カタログ(図録)は、全出品作品およそ100点の画像をカラーで掲載。さらに、ほとんどの作品の解説や複数のコラムも掲載されています。それでいて価格は2200円とお手頃。サイズがB5だからでしょうか。多くの図録はA4サイズですが、多少小ぶりなB5サイズの方が読みやすくて好印象です。そして、表紙は兄ピーテル2世の《野外での婚礼の踊り》もしくは、弟ヤン1世親子による《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》の2種類から選べます※表紙は異なりますが、掲載内容は同じです。
出展作品のほとんどが、日本初公開のプライベート・コレクションですから、それら貴重な作品たちを自宅でじっくり楽しみ、学べるのは素晴らしいですね。
ページ数:全256ページサイズ:B5(18.2×25.7cm)価格:¥2,200(税込)
小ぶりで繊細な作品の数々
解説編でも書きましたが、今回の出品作品には縦・横30cm未満の小さな作品が多く含まれています。そしてどれも驚くほど細かいです。顔を近づけて目を凝らさないと細部が見えないものもあります。しかし、それこそが「ブリューゲル」の魅力ですので、そこを見逃さないためにも単眼鏡やオペラグラスの携帯を強くおすすめします。
2/18まで一部エリアは撮影可能
開幕記念として1月23日(火)~2月18日(日)の間、2階展示室のみ撮影可能です。展覧会入口は地下1階ですので、2つ上のフロアが2階になります。ご注意下さい。
看板が目印です(撮影もいいですが、自分の目で鑑賞することを忘れないで下さいね。)
第6章「静物画の隆盛」のエリアです。
図録の表紙や展覧会ポスターにも使われている、ヤン1世、2世による《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》をはじめとして、繊細で美しい花、果物などの絵が並んでいます。普段それ程花の絵に気持ちが動かないのですが、これには思わずうっとりしてしまいました。静物画、なかでも花の絵を最も得意としたヤン1世と、その血を受け継いだ息子や孫たちの真骨頂を体感することができます。







このフロアの展示作品で1番驚いたのが、ヤン1世の孫の一人ヤン・ファン・ケッセル1世による《蝶、コウモリ、カマキリの習作》です。
No.94 ヤン・ファン・ケッセル1世による《蝶、コウモリ、カマキリの習作》
完璧な正確さを追及するために科学書なども参照していたというだけあって、まるで本物の標本かのようであり、その上これらの昆虫たちは生きた状態が描かれているので、今にも動き出しそうなほどリアルです。そしてもう一つ特徴的なのが、この絵が大理石に描かれている点です。そこも含め非常に印象的な絵でした。
ピーテル・ブリューゲル1世(下絵)、ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(彫版)《春》

こちらは、第7章「農民たちの踊り」から。繰り返し農民の姿を描き、「農民画家」とも呼ばれた父ピーテル1世と、そのコピーに生涯徹した息子ピーテル2世。彼らが描く農民たちは実に親しみが感じられます。そしてなんとも言えない表情がすごくポップで可愛らしいですね。
ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》
こちらが展覧会の主役とも言えるピーテル2世の《野外での婚礼の踊り》です。一番最後に展示されていました。色彩の美しさも素晴らしいですし、何といっても1人1人が実に生き生きと描かれているのがとても素敵でした。
使われている“支持体”に注目
先ほど大理石に描かれた絵を紹介しましたが、本展では他にも様々な素材(支持体)に描かれた絵が展示されています。現在において油彩画はカンヴァスに描かれることが多いですが、ブリューゲル一族およびフランドルの画家たちにおいては必ずしもそれが主流だったわけではありません。
カンヴァスは15世紀から使われ始め、16世紀以降本格的に普及していきましたが、それ以前から一般的に使われていたのは木の板でした。しかし、軽量かつ安価であったことから、イタリアを中心として世界的にカンヴァスが使用されるようになっていくのですが、16世紀中頃に活躍したピーテル1世の現存する作品のほとんどは板絵であり、カンヴァスに描かれたのはわずか2点のみです。本展出品作品を見回しても、カンヴァスが支持体になっている作品はそれ程多くありません。
そんななかぜひ注目していただきたいと思うのが、「銅板」に描かれた作品です。細かな描写が特徴のブリューゲル一族にとって銅板は、カンヴァスや板と違い、その滑らかで平面な表面によって繊細な筆さばきや絵の具の輝きを引き出すことのできる理想的な支持体だったのです。本展においては比較的小さな作品に使われている場合が多いですが、他の素材とはあきらかに違いを感じることができます。カンヴァスだと絵の具が吸われてしまうのですが、銅板ではそれがありません。それ故に非常に張りや輝きがあります。こちらもそれほど数は多くないですが、見つけたらぜひ他の支持体との違いを比較してみてください。
展覧会監修者の講演会に参加
鑑賞後には、本展覧会監修者であり美術評論家のセルジオ・ガッディ氏による記念講演会を聴講させていただきました。「ブリューゲル一族 ーフランドル神話の立役者ー」というテーマで、貴重な話を1時間半に渡って聴くことができ、大変勉強になりました。
ちなみに、3月17日(土) 14:00~15:30からは、東京都美術館学芸員の髙城靖之さんによる記念講演会が開催されます。聴講無料、ただし本展観覧券(半券可)が必要。当日13:00より講堂前で整理券を配布し、定員になり次第受付終了になります。気になる方はぜひ参加してみてください。
開催概要
会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室
会期:2018年1月23日(火)~4月1日(日)
休室日:月曜日、2月13日(火) ※ただし、2月12日(月)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料金
当日券 | 一般 1,600円 / 大学生・専門学校生1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
※20名以上は団体料金(前売価格)で観覧可能