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幕末から明治の長崎を旅する 『写真発祥地の原風景 長崎』を東京都写真美術館にて

投稿日:2018/04/08

 東京、恵比寿の東京都写真美術館にて2018年3月6日(火)~5月6日(日)の日程で開催中、『写真発祥地の原風景 長崎』を観に行きました。本展の紹介とレポートをお送りします。

「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」の紹介はこちら
 写真ならではの芸術表現をめざす 『『光画』と新興写真 モダニズムの日本』を東京都写真美術館にて - Art-Exhibition.Tokyo

日本における写真発祥の地、幕末から明治の長崎を旅する

f:id:async-harmony:20180426142545j:imageプロイセン東アジア遠征団写真班《(長崎パノラマ)》(部分) 文久元(1861)年 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

 1839年、フランス政府によって世界で最初の「写真」が公開されました。その約10年後、長崎の上野俊之丞によってはじめて日本に写真機材一式が輸入されます。日本人が日本人を撮影した現存最古の写真である《島津斉彬像》は、それらの機材を用いて制作されました。

 海外に開かれた港町として栄えた“異域”長崎では、ピエール・ロシエやフェリーチェ・ベアトなどの外国人写真師が訪れて写真を制作しました。一方、幕末・明治には上野彦馬、内田九一をはじめ、薛信二郎、清河武安、為政虎三などの日本人写真師も誕生し、日本の写真文化が開花する核となりました。

 写真の普及が早ければ早いほど、その土地の写真は多くなります。日本の写真発祥地では、開国と同時に写真制作がはじまり、近代化の歴史が写真によって記録され、現代に伝えられています。

 本展では、東京都写真美術館が収蔵する上野彦馬『長嵜市郷之撮影』、内田九一『西国巡幸写真帖』および同撮影で日下部金兵衛が頒布した《(長崎パノラマ)》、フェリーチェ・ベアト『幕末アルバム』や『ボードイン・アルバム』(長崎大学附属図書館蔵)、伝・堀江鍬二郎《上野彦馬像》(日本大学藝術学部蔵)などの写真作品のほか、川原慶賀《長崎出島之図》や、写真を原図に用いた青貝細工の《長崎風物図箱》、長崎版画、稀覯本といった数多くの展示を通じて、幕末から明治へと移り行く長崎を写真と資料によって旅することができます。

f:id:async-harmony:20180426142642j:imageピエール・ロシエ 《(雨の日の日本人たち〔出島〕)》 万延元(1860)年 鶏卵紙  長崎大学附属図書館(中央図書館)蔵

f:id:async-harmony:20180426142655j:imageA. F. ボードイン《ボードイン兄弟とその友人》 1865年頃 鶏卵紙 長崎大学附属図書館(中央図書館)蔵

f:id:async-harmony:20180426142800j:imageフェリーチェ・ベアト《眼鏡橋、長崎》1865年頃 鶏卵紙 東京都写真美術館蔵

f:id:async-harmony:20180426142745j:image上野彦馬《高島炭坑・北渓井坑》『上野彦馬手控えアルバム』より 明治初期 鶏卵紙 日本大学藝術学部蔵

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f:id:async-harmony:20180420180221j:plain制作者不明《長崎風物図箱》幕末期 長崎青貝細工 長崎歴史文化博物館蔵

 本展ではこちらの《長崎風物図箱》に限り写真撮影が可能となっています。とても美しい細工がほどこされた木箱です。

記録としての写真

 日本における写真文化の中心を担う東京都写真美術館では、毎春、初期写真に焦点を当てる展示を開催しています。2018年は、長崎学に造詣の深い姫野順一博士(長崎外国語大学特任教授・長崎大学名誉教授)監修のもと、幕末・明治の長崎を再構築する「写真発祥地の原風景 長崎」が開催されています。

 本展は、「明治150年」を記念するとともに、長崎大学附属図書館の幕末・明治期日本の写真データベース公開20周年を記念し、同大学と共同で開催されるものです。 また「写真発祥地の原風景」は今回を第一弾としてシリーズとして展開し、北海道編、東京編の開催が予定されています。

 こちらは、同時開催されている「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」とは打って変わって、日本における写真発祥の地をたどるという趣旨の写真展です。歴史を記録するというのが、写真のもつ大きな役割の一つであることは言うまでもありません。そういう意味で、本展に関して難しく考えることは必要ないでしょう。ただひたすら幕末・明治の長崎に思いを馳せるばかりです。自分が生まれる前の日本を撮影した写真を観ると、何とも言えないノスタルジックな気持ちになり、個人的にはこれこそが写真の最大の魅力だと思っています。

 本展には写真だけではなく、版画や資料なども展示されています。出品点数もかなり多くて見応えも十分です。平日の午後でしたが、とても空いていて静かに鑑賞することができ、充実した時間が過ごせました。同時開催中の展覧会もあわせて鑑賞しましたが、どれも違った趣旨の展示で、写真のもつ可能性の幅を一気に体感でき、新しい扉が開かれたようでした。とてもおすすめの展覧会です。

2階ロビーでは、今昔の長崎パノラマと記念撮影ができます

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《長崎のパノラマ》
右)フェリーチェ・ベアト 慶応2 (1866)年 鶏卵紙 長崎大学附属図書館(中央図書館)蔵 オリジナル写真のサイズは213×844mm
左)五十川 商司 2018年2月8日撮影 © Isogawa Shoji

開催概要

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会期:2018年3月6日(火)~5月6日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし、4月30日[月・振休]、5月1日[火]は開館)
会場:東京都写真美術館2F

本展は長崎歴史文化博物館への巡回(5月22日~6月24日)が予定されています。

観覧料金

一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
※ ( )は20名以上団体、「恵比寿ガーデンシネマ」の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引、当館年間パスポートご提示者/ 小学生以下 、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料
※本展は東京・ミュージアム ぐるっとパス2018が対象外です。
※同時開催の「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」は別料金がかかります。

アクセスは下記ページにて紹介しています。
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