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むさしの木彫会 第二回展『祈りのかたち 仏像彫刻展』を埼玉県立近代美術館にて

 さいたま市浦和区の埼玉県立近代美術館にて4/24日(火)~29(日)の日程で開催されている、仏像彫刻教室「むさしの木彫会」の生徒さんによる仏像作品を展示する展覧会、『祈りのかたち 仏像彫刻展』を紹介します。

-自分だけの仏像を彫る-
初心者からベテランまで、仏像彫刻教室の生徒による作品を展示

祈りのかたち仏像彫刻展

 ここ数年、仏像が大きなブームになっています。たとえば昨年、東京国立博物館にて開催された『運慶展』や、今年開催された『仁和寺展』は、連日多くの仏像ファンが集まり大混雑しました。また若い女性たちの間でも、「仏女」と呼ばれる仏像好きの方が増えているそうです。数百年、千数百年といった長い歴史をもつ仏像の数々は、私たちに強い畏敬の念を抱かせ、単なる美術品とは違った深い感動を与えてくれます。

 運慶がフューチャーされたことにより、仏像を彫る「仏師」に対する関心も高まっています。運慶に代表される平安時代末期から江戸時代に活躍した慶派や、鎌倉時代の貴族世界で活躍した院派や円派の仏師たちなどは、展覧会においてもその名を目にすることがあるかと思います。そしてこういった仏師たちに注目をすると、必然的に仏像の“制作”に関心が及ぶのではないでしょうか。「一体どうやって作っているのだろう」と、その工程に興味を抱く人は少なくないと思います。また、同じ仏さまでも彫る人間が違えば出来上がる像もまったく違ったものになります。こういった仏師の個性は、私たちに芸術鑑賞としての楽しさも提供してくれます。

 このように、現在多くの人々が仏像に魅了され、寺院や博物館などに足を運んでいますが、みなさんは仏像を“自分で彫る”ということを考えたことがあるでしょうか。一見すると少し現実味のない話に感じられるかもしれませんが、実はそんなことはありません。現代でも多くの仏師が作品を生み出していますが、そのなかには趣味として自分のための仏像を制作している人がたくさんいるのです。

 仏師・菊池文子先生による仏像彫刻教室「むさしの木彫会」では、世界に一つだけの、自分のための仏像制作を基礎から学ぶことができます。1年目の初心者の方から、10年を超えるベテランの方まで、幅広い年齢の方々が参加しているそうです。今回は、その教室の生徒さんたちの活動報告的な展覧会にお邪魔してきました。

 小ぶりな仏像がずらりと並んでいますが、なかには生徒さんによるものだとは思えないほどクオリティーの高い作品がいくつもありました。基本的にどれも色が塗られていないのですが、それがかえって彫刻作品としての魅力を引き立てています。初心者の方によるものと思われる作品も展示されていますが、これがまたなんとも温かみがあってとてもすてきです。ここに展示されている作品は、あくまでも生徒のみなさんがそれぞれ自分のために作ったものなので、必ずしも上手である必要はないのです。自分が納得できる作品を制作すること、さらに言えば仏像制作を通じて自分自身と向き合うその工程が大事なのかもしれません。

 今回は特にクオリティーの高かった作品を数点紹介します。どれもプロによるものかと思えるほどの出来栄えです。

《釈迦如来坐像》

《釈迦如来坐像》

《釈迦如来坐像》

《釈迦如来坐像》

《菩薩半跏像》

《菩薩半跏像》

《菩薩半跏像》

《菩薩半跏像》

《金剛力士立像(吽形)》

《金剛力士立像(吽形)》

《金剛力士立像(阿形)》

《金剛力士立像(阿形)》

《阿弥陀如来坐像》

《阿弥陀如来坐像》

《阿弥陀如来坐像》

《阿弥陀如来坐像》

《地蔵菩薩立像》

《地蔵菩薩立像》

《地蔵菩薩立像》

《地蔵菩薩立像》

《千手観音菩薩立像》

《千手観音菩薩立像》

《千手観音菩薩立像》

《千手観音菩薩立像》

《阿弥陀如来坐像》

《阿弥陀如来坐像》

《阿弥陀如来坐像》

《毘沙門天立像》

《毘沙門天立像》

《毘沙門天立像》

《毘沙門天立像》

《夢違い観音菩薩立像》

《夢違い観音菩薩立像》

《夢違い観音菩薩立像》

《夢違い観音菩薩立像》

《聖徳太子立像》

《聖徳太子立像》

《聖徳太子立像》

《聖徳太子立像》

《月光菩薩立像》

《月光菩薩立像》

《菩薩面》

《菩薩面》

仏像制作の工程も紹介 

 展示室には、実際に仏像を制作する工程を写真付きで紹介したパネルも設置されていました。こうしてみると、まるで一つの木材から仏さまが“取り出されていく”ようです。とても難しそうにみえますが、教室では1から丁寧に段階を追って指導してもらえるそうなので、誰でも自分の仏像を作れるようになるとのことです。写真で紹介したような立派なものを制作するには何年もの鍛錬が必要だと思いますが、一生懸命自身で制作した仏像には、強い愛着が生まれることでしょう。一生ものの趣味になると思いますし、少しずつ上達していく達成感を得られるのは魅力的ですね。みなさんもこれを機に仏像を観るだけではなく、自分で彫るという選択肢を検討してみるのはいかがでしょうか。

 会場には常時教室の生徒さんがいらっしゃるようなので、気になる方はお話を聞いてみてください。教室の詳細は下記リンク先で確認できます。

NHK文化センターさいたまアリーナ教室:仏像彫刻 A | 好奇心の、その先へ NHKカルチャー

開催概要

むさしの木彫会 第二回展『祈りのかたち 仏像彫刻展』

会期:2018年4月24日(火)~29(日)
開館時間:10:00~17:30
会場:埼玉県立近代美術館地階 一般展示室3

入場無料

アクセス

 会場となっている埼玉県立近代美術館は、JR京浜東北線「北浦和駅」西口から徒歩3分ほどです。

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改札を出たら、左に曲がり西口へと進みます。

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西口から見た景色です。美術館は、中央奥に見える木が生い茂った公園のなかにあります。

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時計回りでロータリーに沿うように進んで行きます。奥の信号を渡って公園のなかに入ります。

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こちらが「北浦和公園」です。そのまま公園内を進んで行きます。

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すぐに美術館が見えてきます。写真中央の入口から館内に入ります。

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入館したらそのまま奥に進みます。本展はどなたも入場無料ですので、チケットなどは必要ありません。

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奥の方へと進むと階段とエレベーターがありますので、地下1階に向かいます。地下に下りたら、時計回りに左奥へと進みます。

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一般展示室3が会場となります。そのまま自由に入って鑑賞して大丈夫です。

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